2011年3月9日水曜日

市長、経済部・労働政策室の調査活動と官製ワーキングプアの改善約束。全道一高い保険料になるのか?高い保険料を下げようとしない函館市(2011年第1回定例会の質問から)

西尾市長は、質問した労働政策室の
          今後の課題についても一歩踏み込み答弁

 西尾市政が発足し、4年間の任期が終わろうとしていますが、3年半前、2007年10月に市長の意向を受け発足した経済部・労働政策室。今回の質問では、労働政策室の行ってきた優れた実績を評価しつつ、今後の課題として2点に絞り、市長に質問し、それなりに前進した答弁を得ることができました。
評価できる点としては、2つの調査報告書発行と市長が目標としている「市民との対話の促進」という点での労働問題懇談会の開催(3年半で11回開催)の2点を取り上げました。

また、今後の課題として大きく2つの点を指摘しました。

 2つの報告書とは

① 労働者・市民アンケート調査
 住民票から無作為抽出した2000人の市民に詳細なアンケートを送り(回答388人)、その回答を集計、冊子(労働者アンケート調査結果報告書、2009年度版)として発行しています。
 特徴的な内容を紹介すると
○ 非正規労働者(パート・アルバイト、派遣社員、契約社員・嘱託)は33,0%です。
○ 1年間の函館の労働者の年収、100万円未満(16.5%)100万円~199万円(21.4%)・・・199万円以下(38%)です。
○ 3年前と比較し年間の所得が減った・・・・48.2%
○ 3年前と比較し仕事がきつくなった・・・・43.6%
○労働保険(雇用保険・労災保険)と社会保険(健康保険・労災保険)両方に入っていない・・・12.1%
などなどです。
② 市内の10人以上の事業所にへのアンケート調査の結果
 1688ヶ所の事業所にアンケートを送り(回答475ヶ所)、その回答を集計し冊子(労働者状況調査結果報告書)として発行いています。(内容省略)

この2つの報告書は、函館市内で働く労働者の実態がかなり詳しく分かる良いものです。

質問では、課題として、この報告書をもう一歩踏み込んだものにと要望しました。
 労働政策室の目標は、「地域の雇用を守り、労働環境の向上」と述べているので、特に労働環境が劣悪な分野、例えば民間の保育士、介護・福祉施設で働く労働者、タクシー労働者などに焦点を絞り、実態調査すべきと質問しました。
 市長は、今後アンケートを工夫してそうした分野の調査を進める意向を示しました。

もう一点の今後の課題としては、自治体(市役所)関連で、劣悪な労働環境で働く労働者、例えば中央図書館で働く1年契約の労働者や委託している学校給食業務で働いている調理員などの労働環境を労働政策として、改善すべきと質問しました。
(劣悪な労働環境)
中央図書館の1年契約の契約労働者・・・・・時給が810円から850円程度、週休2日制なので月の収入は13万円程度。
委託された学校給食の調理員・・・・・時給710円程度、1日の労働時間が4~5時間程度で賃金はとても低い。(北海道の最低賃金691円、市内のパートタイマーの平均賃金は時給875円)

 市長は、自治体関連で働く労働者の賃金が、低い委託契約料の結果劣悪となり、完成ワーキングプアを生み出していることについて、深刻な問題としてとらえていると答弁しました。
 その改善のため、委託契約料に最低制限価格を定めたことや、委託業者に労働者の賃金などの積算内訳書の提出を求めていると述べました。

 しかし私は、落札価格が上昇したにもかかわらず、その委託契約料が、実際には委託労働者の賃金に連動していない事実を述べて、委託業者に対する厳格な対応を求めました。
 市長は、努力して函館市で働く事務補助のアルバイトの賃金については、23年度から時給で69円引き上げ850円にすることも述べています。


多くの契約労働者が働いている函館の中央図書館


高い保険料、とても払えない函館市の国保。
資格証明書発行や差し押さえをする前に、まず引き下げを。

 全道主要都市で国保料が1番高い旭川市、住民の要求と運動が実って2011年度予算で、1世帯あたり2万800円の引き下げが決まりました。保険料の高さで2番手に控える函館市がトップに躍り出るのは時間の問題です。
 どんなに高いのだろうと思う人もこの数字を見てびっくりするでしょう。
 2010年度で、世帯主と配偶者ともに30代、子どもと4人家族の標準世帯、所得が200万円で保険料なんと39万6690円。ほぼ所得の2割です。

 国会での菅首相の答弁では、所得の1割を超えると払いづらいとの感想。2割はとても支払える水準を大きく超えています。
 旭川市の理事者、「国保料の負担が重いという思いは、十分理解しており、議会質疑でもその認識を述べてきた。予算案を検討するに当たり市長の政策判断として具体化した」。すばらしい判断です。ぜひ函館市の理事者も見習ってほしい。

函館市の国民健康保険の実態は(2009年度)
保険料の現年度分の収納率                79.83%(全道最下位)
督促状の発行件数(納期が過ぎるとすぐ発行する)   13000件
短期保険証(6ケ月)発行数                 1940世帯
資格証明証(1年間保険料を納めていない)発行数   487世帯
差し押さえ件数(2月末)                    41件

督促状発行数、期日が来ても納められない世帯数1万3000件は、全世帯数の4分の1以上の26.71%です。

 こんなに保険料が高い原因は、国が国保会計に助成していたお金、25年前は50%以上でしたが、今は20数パーセントに落ち込んでいるためです。
 しかし、札幌市や旭川市、国がお金を出さなければと国保料を引き下げるために2009年度は札幌は22億円の援助、旭川市も12億円の援助を国保会計にしています。
 旭川市は、それでもまだ高い保険料を2万円以上引き下げるため、2011年度は15億円のお金を一般会計から国保会計に投入します。
 函館市は、国保料引き下げのお金は一円も投入していません。
 私は、旭川市のように1度に2万円も引き下げよ要望はしていません。せめて引き下げの意思を持ち、そういう方向を打ち出せないかとの質問に、理事者は冷たく、「(市民の)負担は厳しくなっているものと考えるが、負担していただくのは国保がそういう(負担してもらう)仕組みになっている為である。保険料の引き下げは、市の財政的な負担を考えるとなかなか難しい」と答弁しました。
 払うことが困難な高い保険料、資格証明証(保険書取りあげ)発行や差し押さえる前に、まず保険料引き下げをと強く要求しました。

 また、函館市のホームページには、国保の保険料を納める方法などは懇切ていねいに案内しているが、納めることが困難になったときの保険料を減額したり、免除にしたりすることができる案内はひとこともありません。市民不在のホームページです。
 せめて他都市並みの案内があっていいのではという要請もしました。

高すぎて納めることのできない函館市の国保料の年度別推移